聴性脳幹反応(ABR)、聴性中間反応(MLR)、聴性緩反応(SVR)の連続する聴性誘発反応を用いて、CT、MRIの局在の明確な症例を対象に反応を記録し正常者の記録、また左右の記録を比較して局在部位のパターンを検討した。 対象は画像にて局在の明確な中枢性疾患10名。内訳は聴神経腫瘍4例、脳幹出血2例、側頭葉切除症例3例、側頭葉くも膜嚢腫1例である。 判定に際してABRに関しては比較的個人差が少なく判定はI-III、I-V波間潛時を指標にした。MLR、SVRは比較的個人差が大きく正常者との比較が困難な例が多く右耳刺激、左耳刺激を可及的同一になるようにし左右の記録を比較し異常か否かの判定とした。 聴覚路を聴神経部、脳幹、大脳(聴皮質)に分け、部位により特異なパターンがあるかを検討した。 結果は聴神経部の障害ではABRのI-III、I-V波間潜時の延長が認めた。 脳幹部病変ではABRからMLRにかけての主に反応波形の振幅が減少する異常が認められた。 大脳(聴皮質)病変の側頭葉切除症例ではMLRにさまざまな異常が認められた。1例のくも膜嚢腫の症例では異常を認めなかった。 また、SVRに関しては全症例とも異常を認めなかった。 この要旨は第22回国際聴覚医学会、第39回日本聴覚医学会にて口演した。
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