研究概要 |
従来より鼻過敏症の病態については鼻粘膜表面の肥満細胞や好塩基球より放出されたケミアルメディエーターが吸収され知覚神経終末を刺激し迷走神経を介した反射によりくしゃみを起こし、分泌血管中枢を介し分泌腺や細血管に作用し鼻汁分泌や鼻閉をおこすと考えられている。最近、血管内皮細胞の研究が進みこの細胞が血管の緊張性、透過性、血液凝固、血小板活性化の調節などの機能を介して種々の病態に関与していることが明らかとなった。 そこで鼻過敏症病態における関与を検討する目的でヒト鼻粘膜血管内皮細胞の培養を行った。培養細胞は血管内皮に特徴的な第8因子の発現とUEA1(Biotinylated Ulex Europeaeus Agglutinin1)の発現を認め血管内皮細胞であることが確かめられた。初代培養ならびに継代培養に成功した。継代は第4-5継代まで可能であったが、実際の実験には第2-3継代の細胞を主に用いた。 本培養系を用いてその生物学的特性を細胞内カルシウム濃度の変化で観察した。この結果をコントロールとし、さらにヒスタミン、血小板活性化因子(platelet activating factor:PAF)、ブラディキニン、アセチルコリンなどのケミカルメディエーターの培養ヒト鼻粘膜血管内皮細胞に対する影響を検討した。その結果当該年度はヒスタミン,血小板活性化因子(platelet activating factor:PAF)において若干の知見を得た。今回得られた結果より鼻粘膜血管内皮細胞の鼻過敏症病態における役割の一部を解明できたものと考える。
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