1.単純ヘルペスウイルス1型野生株を、アシクロビル含有培養液で継代培養した結果、15代目において薬剤耐性を獲得した。臨床においても低濃度のアシクロビルを長期にわたり投与している患者には薬剤耐性の出現を念頭におく必要がある。 2.アシクロビル耐性株は、ガンシクロビル、カルボサイクリック・オキセタノシンGに交叉耐性を示した。これよりカルボサイクリック・オキセタノシンGの作用機序にはウイルスのチミジンキナーゼが大きく関与していることが示唆された。 3.アデニンアラビノシド、(S)-HPMPAは、アシクロビル耐性株と野生株に同等の効果を示し、アシクロビル耐性株に対しては(S)-HPMPAが最も効果が高かった。 4.野生株は、チミジンキナーゼ陽性であるが、アシクロビル耐性株は全ての株がチミジンキナーゼ陰性となっていた。そのために耐性獲得をしたと考えられる。 5.アシクロビルは、現在本邦において最も広く使用されている抗ウイルス剤であり、最近は耐性株の出現が問題になっている。今回の結果より薬剤耐性が疑われたなら、作用機序の異なる抗ウイルス剤への変更が望ましいことが示唆された。
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