研究概要 |
落屑症候群は高齢者の水晶体前面あるいは虹彩の瞳孔縁にフケ様の落屑物質が付着し、高頻度に緑内障を合併する患者である。緑内障眼の組織学的な変化をみる目的で緑内障眼の脈絡膜の厚さを測定したところ、緑内障眼で有為に脈絡膜の厚さが減少していることがわかり、緑内障眼で脈絡膜循環が障害されていることが示唆された。(久保田敏昭ら、あたらしい眼科1994)緑内障では視神経乳頭の変化が起こると共に、乳頭周囲にも網脈絡膜萎縮が起こる、緑内障眼を組織学的に観察して、乳頭と乳頭周囲の変化を報告した。(久保田敏昭ら 臨床眼科1994) 落屑症候群で緑内障を起こしている眼と緑内障をまだ起こしていない眼の線維柱帯を観察し、緑内障を起こしている眼では落屑物質を傍シュレム管結合組織内に認め、また線維柱ビームの厚さが厚く、房水の通路である線維柱間隙が狭くなっており、このことが落屑症候群が緑内障を起こす原因の一つと考えられた。(猪俣孟ら、臨床眼科1994) 落屑物質が認められる眼では前房内蛋白濃度の上昇や、血液房水関門の破綻が報告されている。本研究の一環として老人性円板状黄斑変性症眼のフレア-値をレーザーフレア-セルメーター(興和社)を用いて測定し正常眼に比較して有為に高いことがわかった。(Kubota T.et al,JJO 1994)
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