研究概要 |
1.ベーチェット病 (1)ベーチェット病の病因遺伝子の解明 ベーチェット病の疾患感受性遺伝子としてHLA-B51が関わっていることは以前より知られているが,本年度はHLA-B,-C遺伝子を含むY109YACクローンをpWE15コスミドベクターにサブクローニングした後,HLA-C以外のCpGislandを含んだクローンを探索し,コスミドコンティグよりコスミドクローンを二つ(pM56,pM30)選択して塩基配列決定を試みた.その結果,Y109YACクローンは210kbが第6染色体に由来する事が判明し,MICAとHLA-B間に1種類のcDNAクローンを同定した.pM56,pM30については,幾つかの機能不明の遺伝子とホモロジーのある塩基配列を見出し,新しい遺伝子である可能性が高い事が示唆された. (2)ぶどう膜炎の増悪にたいする細菌抗原の関与 患者口腔内より分離されたStreptococcus sanguisの新しい菌株であるKTH-1を抗原として,患者リンパ球の反応を解析した.その結果,KTH-1に特異的な増殖反応を示すγδ+CD8+T細胞株が得られた. (3)免疫病態に関する研究 末梢血リンパ球におけるFas抗原の発現を解析した結果,患者helperT細胞ではIL-2receptorが多く発現し活性化状態にある一方でFas抗原陽性率は対照との間に有意差を認めなかった.一方suppressorT細胞上のFas抗原陽性率は対照群に比べ患者群で有意に上昇していた. 2.原田病 本年度は,フローサイトメトリーにより細胞表面抗原の解析を行い,原田病の炎症極期において前房中と髄液中にmemoryT細胞,活性化T細胞が末梢血に比べ有意に増加することを明らかにした.これらの細胞が原田病における髄膜やぶどう膜の炎症の主体であることが強く示唆された.
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