本年度、我々はさらに別家系の小口病患者1例の血液を入手し、そのペリフェリン/RDS遺伝子をPCR/SSCP法にてスクリーニングした。しかし、この患者にはペリフェリン/RDS遺伝子変異は見い出されず、ペリフェリン/RDS遺伝子以外に主要な小口病遺伝子が存在することが判明した。我々は小口病が定型的網膜色素変性症(RP)の類縁疾患であり、かつその軽症例と考えているので、本年度は、新たにRPの遺伝子として報告されROM-1遺伝子とホスホジエステラーゼβサブユニット遺伝子の一部をスクリーニングした。小口病患者にはいずれの変異も見い出されなかったが、常染色体劣性RP1家系2患者にホスホジエステラーゼβサブユニット遺伝子エキソン12の異常をホモ接合に認めた。正常人45人の同エキソンをスクリーニングしたところ44人は正常であり、1名は異常をヘテロ接合にもつ保因者であった。現在は、この異常の塩基配列を決定中であるがアミノ酸置換を伴う変異であればRPの病因である可能性がきわめて高いと思われた。
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