研究概要 |
眼科領域ではベーチェット病を代表とする多くのぶどう膜炎の発症機構は未だ原因不明な点が多いが、その発症にHSP60が関与するのではないかと考えられ以下の検討を行った。ELISAにてぶどう膜患者血清中のHSP60に対する抗体価を検討した。western blottingにてHSP60を電気泳動し、ぶどう膜炎患者血清と反応させ抗HSP60抗体を検出し、また人網膜と虹彩の抽出液を泳動し抗HSP60モノクローナル抗体(3C8,5C3)と反応させ、抗体と反応する抗原が眼組織に存在するか検討した。western blottingにて80%の患者血清に60KDの位置でHSP60と反応する抗体が認められ、また網膜では60KD付近のバンドで3C8抗体との反応が確認された。組織学的にはganglion cell layerと網膜血管内皮に特異蛍光が認められた。HSP60と網膜には免疫学的交差反応が認めら、両者には共有する抗原性があった。HSP60に対する特異抗体が患者血清から検出され、眼内炎の発症機構にHSP60と網膜の共通抗原が関与すると考えられた。 以上の事項につき平成7年5月16日に米国にて開催されるThe Association for Research in Vision and Ophthalmologyにて演題発表を予定しており、追って論文発表すべく準備中である。
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