BresslerやGuyersは、初診時視力0.2以上の老人性円板状黄斑変性症の自然経過観察例の視力予後は極めて不良であると報告した。また米国のMacular Photocoagulation Study Groupは、本症の中心窩脈絡膜新生血管に対してレーザー光凝固を行うと、視力は凝固直後より低下するものの6ケ月を越えると自然経過よりも良好であると報告している。 そこで我々は、老人性円板状黄斑変性症の中心窩脈絡膜新生血管に対し、レーザー光凝固を行い最終凝固から6ケ月以上再発が見られなかった21眼を最終視力が0.1以上であった10眼と0.1未満であった11眼に分け、Fisherの直接確立計算法を用いて最終視力に影響している因子を検討している。検討項目は年齢、性別、自覚症状発現からレーザー光凝固までの期間、凝固前視力、病型、固視点の感度、脈絡膜新生血管の大きさ、瘢痕周囲の色素上皮の萎縮の有無、凝固後の中心視野の13項目である。 0.1以上の視力が得られることに関連の深い項目は中心外固視になっていること、凝固後中心窩近くに良好な視野が残っていること、光凝固前に中心窩から新生血管縁までの距離が短いこと、固視点の網膜感度が良好なことであった。以上の結果から、視力の観点からみると本症の中心窩脈絡膜新生血管のレーザー光凝固は、中心窩から新生血管縁までの距離が短く、凝固後中心窩により近い部に良好な視野が残り、中心外固視が有用であると予測されるものを最も良い適応とすべきと考えた。
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