実験的脈絡膜新生血管における塩基性線維芽細胞増殖因子(b-FG)の発現を、免疫組織化学的方法をもちいて明らかにした。 Brown-Norway系有色ラットを用い、クリプトンレーザーにてラット眼底後極部に強度光凝固を行い、実験的脈絡膜新生血管を作成した。光凝固後、経時的に眼球の凍結切片を作成し、Anti-basic FGF抗体を1次抗体として用い、Labelled streptoavidin biotin complex method(LSAB法)にて、脈絡膜新生血管発生および成育消退過程でのb-FGFの関与を光顕的に観察した。 正常網膜では視細胞内節、網膜神経節細胞層、内顆粒層にb-FGFの免疫組織学的陽性所見を認めた。 脈絡膜新生血管モデルにおいては、光凝固部の網膜色素上皮細胞脈絡膜新生血管内皮細胞、大食細胞などとおもわれる網膜下の増殖した細胞にb-FGFの免疫組織学的陽性所見をみとめた。この陽性所見は、3日より7日目で強く認められたが、その後は少しずつ弱くなり1か月後にはほとんど認められなかった。 今後は同様の実験を、血管内皮増殖因子(VEGF)を1次抗体として行い、血管新生因子としてのb-FGFとVEGFとの相乗作用について明らかにしてゆく予定である。
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