Secretory component(SC)は消化管や口腔内における局所免疫機構に重要な役割を果たす、上皮細胞から産生される蛋白質である。しかしながらその発現制御機構は明らかではない。近年、SCがサイトカイン刺激により転写レベルで発現量が増加することが明らかとなった。そこでその詳細なメカニズムを解析するための一端として、ヒト大腸癌由来細胞株HT-29をIFN-γ刺激したときに誘導されるmRNAのcDNAクローニングを試みた。 HT-29細胞を100n/ml IFN-γで48時間刺激したもの、未処理のものからそれぞれmRNAを精製し、IFN-γで刺激したものからfirst strand cDNAを合成した。一方、未処理細胞由来のmRNAはphotobiotin化し、first strand cDNAと68度で48時間hybridizeした。Hybridizeした後avisin-biotin complexを形成させ、phenol/chloroform抽出することでhybridizeした核酸を除去した。このようにして得られた一本鎖cDNAはHT-29細胞をIFN-γで刺激した時に特異的に発現したmRNAのcDNA(subtracted cDNA)である。 通常は核酸のラベルを^<32>P-dCTPを用い、ハイドロキシアパタイトカラムにより一本鎖cDNAを分離するが、核酸をphotobiotin化しavisin-biotin complexをphenol/chloroform抽出する方法では、ラベルの容易さに加え、一本鎖DNAを容易に分離することができた。 更に、HT-29をIFN-γで刺激したときのcDNAから作製したcDNAライブラリーを作製し、subtructed cDNAをラベルし、スクリーニングを進めている。
|