Matrix Metalloproteinase-1(MMP-1)及び-8(MMP-8)はinterstitialcollagenaseであり、歯周疾患やリウマチ性関節炎などの炎症性疾患におけるコラーゲン破壊のinitiatorとして重要な役割を演じている。 実験材料には、正常歯肉、プラークコントロールによって炎症が改善されてきた歯肉(軽度の炎症)、歯肉縁及び歯肉縁下炎症歯肉(重度の炎症)を用いた。これらの歯肉から超遠心によりtotal RNAを抽出し、Northern blot、Dot blot及びRT-PCR法によりmRNAの分析を行った。RT-PCRサンプルは、Southern blotにより解析した。 ヒト歯肉におけるMMP-1のmRNAの発現パターンをNorthern blotにより分析したところ、約2kbのシグナルが検出された。また、mRNA量をDot blotにより測定したところ、MMP-1のmRNA発現量は炎症の進行に伴い殆ど変化しなかった。更に、RT-PCRを行ったところ、MMP-1 cDNAに特異的なfragmentは炎症の進行に関係なくほぼ一定量合成されていたが、MMP-8cDNAfragment合成量はMMP-1より少ないが著名に増加した。一方、TIMP-IについてRT-PCRを行ったところ、炎症の進行に伴いやや増加していることが確認された。(日本骨代謝学会雑誌、Vol2、122、1994) これらの結果から、歯周疾患による歯周組織の破壊にはcollagenase(MMP-1)及び、TIMP-Iが関与していると推測される。しかし、MMP-1のpost-translationalcontrolの影響も考えられる。
|