本研究の目的は、顎関節雑音波形に時間-周波数二次元解析法を応用することにより、顎関節内部の病態を音響学的に検索することにある。 I、時間-周波数二次元解析法ソフトの開発 今回は、時間-周波数二次元解析法の中でも短時間のラグ窓を時間的に移動させながら解析を行うスペクトログラムに着目し、そのソフトの開発を行った。具体的には、周波数分析を行う雑音信号のラグ窓を64pointと細かく分割した。そしてそのラグ窓の分解能を向上する為に64pointに0を代入して102pointまで上げ、ハミング、ハニング処理を行う手法である。 II、被験者への応用 被験者は、雑音を有する顎機能異常者のうち、臨床症状ならびにMR画像診断により(1)明かに円板および下顎頭に変形を起こしいる者、(2)起こしていない者、(3)健常者の3つに分類した。そして総エネルギー値を指標とした解析を行った結果、(1)がもっとも大きい値を示し、続いて(2)、(3)の順となった。 以上のことから、顎関節内部の病態の相違により、雑音信号は異なることがわかり、雑音分析は診断の一助となることが示唆された。
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