1.実際の矯正臨床では矯正力を幾度も再荷重する事により歯を移動している。そこでわれわれは、いままで行ってきた実験系を用いて実験動物に100gの矯正力を4週間加えて、さらに1、2、4週間100gの再荷重を加えることにした。実験終了後、灌流固定し、セロイジン包埋、薄切、H-E染色し、光学顕微鏡で観察した。また、現有の三次元画像解析システムで三次元再構築像を作製した。 その結果、初期荷重終了時に吸収されていなかった歯槽骨に接した歯根膜には内変性帯がそのまま存在し、その周囲には無細胞帯が出現していた。また、初期荷重終了時に歯槽骨の吸収により、矯正力が解放された領域では、再荷重されても変性組織は存在しなかった。 一方、破骨細胞の分布は、吸収されていなかった歯槽骨を取り囲むようにみられ、穿下性骨吸収を行っていた。また、そこでは背部骨吸収も活発に行われていた。そして、初期荷重終了時に穿下性骨吸収を行っていた破骨細胞が分布していたと思われる領域には再荷重後では破骨細胞はみられず、新たに圧迫を受けた歯槽骨に破骨細胞が出現していた。 また、今後、これらの変性領域を電子顕微鏡にて微細構造の観察を行っていく予定である。 2.再荷重した歯根膜を現有の近赤外光歯根膜血流計測装置にて圧迫側の歯頚部および根尖部の歯根膜血流量を測定し、初期荷重時の血流量と比較検討した。
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