我々は、外から加えた活性酸素及び、細胞から放出された活性酸素によって特異的に消失する蛋白質、spotz(分子量45KDa)を見い出し、その同定を目指している。SPOTZは^<35>S-メチオニンラベルにより2次元電気泳動ゲル上にオートラジオグラフィーによって見い出されたが、その後、クマシ-染色でも検出が可能であることを見い出し、その濃さから、2次元電気泳動ゲル1枚上に、0.1〜0.5μg存在すると予想された。アミノ酸のマイクロシークエンスには、500pmole以上の蛋白質が必要であり、現在までに2次元電気泳動ゲル50枚より、spotz部分を切り出し、集め終わった。今後、ゲルより一旦、蛋白質を抽出後、1次元SDSゲル電気泳動してニトロセルロース膜に転写、トリプシン消化したpeptideフラグメントをマイクロシークエンスの予定である。また、細胞をTriton-X-100で可溶化分画後、このspotzは、大部分、Triton可溶化画分に存在することがわかり、細胞膜、或は、細胞質に存在する蛋白質である可能性が高いと思われた。さらに、その存在量は、細胞の種類に依存し、マクロファージへの分化能を有するヒト白血病細胞V937には多く存在するが、ヒト繊維芽細胞、内皮細胞には少量であった。活性酸素(主に過酸化水素)に被曝後、消失に要する時間を調べたところ、外から一度に多量に加えた過酸化水素によっては、15分以内に速やかに消失し、TPA処理によって細胞自身からの活性酸素放出時には、約2時間を要した。以上の結果は、spotzが我々の想定する活性酸素センサーとなりうる性質を持っていることを示唆しており、今後、シークエンスをして同定を目指す予定である。
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