CYP3A4およびCYP3A5を特異的に識別する抗オリゴペプチド抗体を作製するために、それぞれのアミノ酸配列から特異的配列のペプチドを合成した。BSAに上記のペプチドを結合させ抗原とし常法に従い兎に免疫し、抗体を作製した。一方すでに単離しているCYP3A4およびCYP3A5cDNAをCOS-1細胞にトランスフェクションし、CYP3A4およびCYP3A5を発現したCOS-1細胞を作製し、ミクロゾームを調整した。これらのミクロゾームにCYP3A4およびCYP3A5が発現していることを抗CYP3A2抗体により確認した。これらのミクロゾームを用い、作製した抗ペプチド抗体の特異性等について検討したところ、抗CYP3Aペプチド抗体についてはCYP3A4特異的に反応し、CYP3A5とは反応しないことが示された。一方、抗CYP3A5ペプチド抗体については、特異性は認められなかった。次に抗CYP3A4ペプチド抗体がミクロゾーム中のCYP3A4の活性を阻害することができるかどうか、テストステロン6β-水酸化活性を測定することにより検討したが、活性阻害は認められなかった。抗CYP3A4ペプチド抗体はCYP3A4にのみ特異的に反応することより、ヒト肝におけるCYP3A4の含量を測定したところ有意な個体差が認められ、CYP3A4のタンパクレベルでの多型の存在が示唆された。現在異なる部位のペプチドを合成し、活性を阻害することができる特異抗体の作製を試みている。
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