看護婦が慢性疾患を持つ子どもの闘病意欲を高めるために用いている介入方法を明らかにするという、目標2を中心に研究を進めた。慢性疾患の子どもに関する過去10年間の文献およびケアリングに関する文献を整理し、子どもの闘病意欲を高めるケア行動90項目を抽出し、検討を重ね60項目に洗練化し、「慢性疾患の子どもの闘病意欲を高めるためのケア行動に関する質問紙」を作成した。質問紙は、協力の得られた8施設に配布しデータ収集を行った。現在は、基礎的なデータ分析を行っている段階である。ケア行動の総合平均点は、140.10点、獲得得点の46.7%であった。各ケア行動別に平均点を比較すると、直接働きかけるケア行動90.58点、獲得得点の60.38%(積極的に生きる36.13点、病気と生活を調和させる21.18点、病気を受け入れる8.98点、セルフケアを遂行する18.22点、希望を持ち続ける5.84点)、間接的に働きかけるケア行動50.67点、獲得得点の63.34%、(子どもとの信頼関係を築く32.39点、家族機能を高める18.44点)、アセスメントの平均点41.74点、獲得得点の59.63%であった。また、看護者の臨床経験年数とケア行動との関係は、“普通の生活に近づける(r=0.35)"“病気を受け入れる(r=0.22)"“希望を維持する(r=0.30)"“両親が力を発揮できるよう援助する(r=0.22)"“子どもを理解する(r=0.34)"であった。従って、このようなケア行動は臨床経験を通して、駆使することが可能になる考える。また、“両親が力を発揮できるように援助する(r=0.31)"“家族機能を高める"“家族アセスメント"に関する項目については、特に小児病棟での臨床経験と相関関係が認められたことは興味深い。子どもの闘病意欲を高めるためには、家族をも含めたケア行動が必要であることがわかる。この調査と併せて、慢性の経過をたどる子どもの看護について、看護婦の看護観・難しい点・実践の方向性などの考えを伺った。この結果得られた質的データは、現在分析中である。
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