研究概要 |
本研究では、1)加齢に伴う体肢筋群の形態的・機能的特性の変化を定量化すること、2)身体運動がこれらの変化の程度に及ぼす効果について検討することを目的とした。形態的特性を把握するために、本研究では超音波法を用いて、筋の形状を測定した。成人男女について、青年層から高齢者まで幅広く測定を行ない,横断的なデータを収集した。加齢が筋に及ぼす変化と身体運動の効果を把握し、望ましい身体運動の種類及び強度について検討を加えた。 実験1 青年期〜高齢者における筋の形態的特性 637名の男女を対象に,上肢および下肢の筋の羽状角、筋線維長、筋厚を超音波法を用いた組織断層画像から求めた。その結果,筋の形状には大きな変動が認められ,加齢によって筋量や羽状角は減少する傾向が認められたが,日常定期的に身体運動を行っている高齢者では筋量の減少がみられない筋も存在することが明らかになった。また,特に下肢の筋において,日常の動作の遂行の可否を決定する最低限の筋量の存在が示された。 実験2 身体運動が加齢による筋の形態的・機能的特性の変化に及ぼす効果 中高年男女を被験者とし,定期的な身体運動を行なった時の筋の形態と機能の変化について検討する実験計画を現在進めている。身体運動は日常生活に深く関わるものとし,実験1の手法によって筋の形態的特性に関する測定および身体組成の推定を行なう。さらに,動作のパフォーマンスの定量化を行ない,定期的な身体運動が筋の形態および機能に及ぼす効果について検討する。実験1、2の結果をふまえて、中高年における望ましい運動処方のための具体的な指針の作成を試みる計画である。
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