今年度は5歳の幼児と成人各30名ずつに対して、60-160/msecの間における5種類のテンポを呈示し、四つ這いと高這いの二種類の四足歩行を行なわせ、四肢の運び順を指標としてテンポとの関係の解明を試みた。結果の概略は以下のとうりである。 幼児ではテンポを呈示することにより四肢の運び順に乱れが生じたが、その傾向は高這いより四つ這いのほうが大きかった。また四足歩行の最適テンポは四つ這いと高這いともに、幼児の精神テンポといわれる120/msecあたりであった。 成人でもテンポを呈示することにより四肢の運び順に乱れが生じたが、四つ這いではテンポが遅くなるほどに、そして高這いではテンポが速くなるほどに運び順の乱れが大きくなった。また四足歩行の最適テンポは、四つ這いでは160/msec、高這いでは80/msecあたりであった。 テンポをとるタイミングは幼児と成人ともに接地であった。そして離地にてその調整を行うのではないかと考えられた。 テンポどりは上肢より下肢が優位に働くと考えられたが、ここでは明確な結論は得られなかった。今後は接地における四肢の運び順を重視して、この点の解明を今後の課題としたい。
|