研究概要 |
本研究は,那覇市における都市的土地利用パターンを明らかにすることによって,これが産業立地にどのように影響しているかを考察するものである。特に,人口規模,歴史的慣性の異なる福岡市との比較を行うことによってこの点を明確にしようとした。その結果は以下の通りである。 1.メッシュ単位による那覇市の土地利用の用途別比率の分布特性を分析した。まず,都心部においては,商業・業務系の用途は高いものの,この卓越は小地域に限られ,しかも他用途との混在性が高い。これは,福岡市における都心周辺部内帯における土地利用パターンと類似したものである。 次に,都心部では,本来都心化現象の著しい内帯においても店舗併用の住宅や集合住宅の立地が著しく,卓越地区が広範囲に及んでいる。一方,外帯では住居系の土地利用に卓越した地域となり,市域の中で最も住居系比率が高く,用途の混在度は低い。この住居系の比率の上昇に貢献しているものは集合住宅である。 最後に,都市縁辺部では,いずれの用途別比率も低くなり,都市的土地利用のシェアは低くなっている。 2.以上の都市的土地利用パターンは,福岡市との違いが明確になったが、これは単に都市規模による差異とはいいがたい。すなわち,那覇市は単一中心をもった同心円的都市構造を持つものではなく,沖縄独特ともいえる旧来の集落の複合的構造が,都市内部における機能的空隙を発生させ,さらに墓地や石灰岩台地による傾斜地の存在が,都心を中心とした外縁部への拡大的都心化現象を妨げている。その結果,本来都心を高度に指向する高次の第三次産業が立地できなくなり,比較的粗放的な土地利用パターンを示す外縁部への立地を余儀なくされているということがわかった。
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