研究概要 |
栽培実習教育において学生の関心は栽培試験区を設けることで高まることが分かった。また,コンピュータの普及に対応して独自に開発したコンピュータ利用による気象観測システムを用いた実習を行い,教育効果を上げつつある。そこで,これら二つの事例を融合して実習を行えばさらに教育効果が増すものと期待できる。この観点から栽培実習教育の現場で使用可能なコンピュータによる環境計測のためのシステムの開発を進めた。 コンピュータは,普及率が高いことと圃場での計測を考慮して、日本電気製のノートパソコンPC9801NS/Aを用いた。このコンピュータで栽培環境の計測を行うために必要なA/D変換器とセンサ(温度、湿度、光)について検討した。A/D変換器はコンピュータとのインターフェースが異なる2種類を市販製品の中から選定し,精度および信頼性などについて標準電圧電流発生器を用いて評価した。いずれの製品も十分な精度であったが,汎用性を考慮して多くのコンピュータで標準装備のRS-232Cによるシリアルインターフェース製品を使用することにした。また,センサはいずれも回路構成が簡単で安価なものに絞り,多くの製品の中から適切なものを選んだ。すなわち,温度はサーミスタとIC化温度センサ,湿度は抵抗変化型湿度センサ,光はCdSとフォトダイオードとした。また,プログラム言語はBASICを用いた。なお,これらセンサの基準測器には英弘精機製温湿度計と現有の日射計を用いた。これらを組み合わせたシステムは安価なセンサの測定精度に若干の難点があるものの,実用的な環境計測システムとして有効であることが分かった。 さらに,播種期を変えたホウレンソウを栽培し,生育期間中の環境計測を行った。この結果,初年度で準備不足の感はあったものの,教育効果は認められたように思う。しかし,問題点も多く残されたことから,今後,時間をかけた改善が必要と考える。
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