分散コンピュータシステムは近年計算機及び通信技術の大幅な進歩の成果である。次の世紀の情報処理システムとして、分散コンピュータシステムが強く求められるようになってきた。 分散コンピュータシステムはコンピュータ通信ネットワークからつなげられているホストコンピュータの集合である。その一つの大きな特徴は、システムの中での負荷を各ホストコンピュータに分散し、システムの資源(CPUとメモリなど)を効率的に利用することが可能になることである。システムの性能を向上させ、分散システムの資源を最大限に利用するのが最適負荷分散である。システム全体の統計値に関する情報を使用して、負荷分散を行うのが静的負荷分散である。各ホストコンピュータが一定の時間間隔毎に情報を収集し、負荷分散の解を計算し、それにより最適な静的負荷分散を行うのは準静的負荷分散である。 本研究では、まず、準静的負荷分散の研究の基礎になっている静的負荷分散方式を追求した。今年度は、特殊かつ重要な構造を持つ三つの分散コンピュータシステム:ツリー階層型分散システム、双方向ジョブ転送スター型分散システム、双方向ジョブ転送ツリー型分散システムを具体的に考えて、それらの分散システムにおける最適負荷分散方式についての研究を完成した。さらに、一般的なネットワーク構造を持つ分散コンピュータシステムにおける静的負荷分散方式を検討し、その研究をまとめた(論文を投稿中)。また、分散コンピュータシステムにおける一定の時間間隔毎に情報を収集する方式を考案し、ある種の実験を行なった。
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