研究概要 |
本研究では,現在我々の研究室で開発中の並列オブジェクト指向トータルアーキテクチャA-NETをベースとして,グラフィカルなユーザインターフェイスを用いて並列プログラムの開発を支援し,またデバッグするための環境を構築した. 1.プログラミング支援システムAPSS ユーザは,専用のプログラミング支援システムAPSSから,ソースコードの編集,コンパイル,実行までを一貫して行える.また,オブジェクト間の通信関係を反映した静的な負荷分散を行なうために,プログラム構成ファイルの作成も支援する.プログラム構成ファイルにより,プログラムに属するオブジェクトやクラスなどを宣言し,それらの計算コストや通信関係を指定することができる. 2.デバッガ オブジェクト内のデバッグについては,ソースコードレベルのブレークポイント方式で対応する.一方,複数オブジェクト間にまたがる部分ついては,非決定性あるいはプローブ効果など並列処理固有の問題が生じる可能性があるため,テスト実行によるイベント記録とリプレイによって,イベント単位での処理の再現性を確保する. イベントには,オブジェクト間のインタラクションとしてのメッセージ交換と,並列計算機の各ノード内で発生するプロセス切替えがある,デバッガは,これらのイベントを記録編集して2次元ダイアグラムで関係を表示すると共に,リプレイ時には個々のオブジェクトの状態とメッセージ送受信の様子をアニメーション的にグラフィック表示する. 3.今後の課題 現在は上記のシステムが動作し始めた段階であり,具体的な評価はまだ行っていない.今後,A-NETLプログラミング熟練者,および初心者に本システムを使用してもらい,システムの有効性を検討する予定である.
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