研究概要 |
1.有限要素解析を行なっている現場の技術者を訪ねて,現状のシステムによる作業手順と問題点などを調査した.その結果,3次元物体のメッシュ生成作業には多くの手間がかかっていることがわかった. 筆者らが提案している3次元ボロノイ図構成アルゴリズムを基に,その双対図形であるデロネ-図を利用した3次元要素自動分割アルゴリズムを構築した. 3.そのアルゴリズムを計算機に実装し,さまざまな入力を使った計算機実験により,その振舞いを調べた. 実験の結果,筆者らの提案している位相構造優先法に従って設計されたアルゴリズムには,退化している入力に対するデロネ-図の構成において,ボロノイ図では表面化しない問題点があることが明らかになった.これは,単なるアルゴリズムの設計ミスではなく,退化している3次元デロネ-図特有の難しさに起因していることが新たにわかってきた.この難しさは,理論的なアルゴリズム構築段階では発見できず,実際に計算機実験を行なうことによって初めて顕在化してきたものである. そこで,この問題点を克服するための対策を考案し,アルゴリズムに改良を加えた.この改良されたアルゴリズムを実装したところ,非常な悪条件になっている入力に対しても,安定した分割が得られることが確認された. 5.位相構造優先法に従って設計されたデロネ-図構成アルゴリズムは,わずかな変更により,より一般化されたデロネ-図である制約つきデロネ-図の構築アルゴリズムに拡張できる.そこでは,数値的に非常に安定であるという位相優先のアルゴリズムの特長を積極的に利用している.さらに,そのアルゴリズムを計算機上に実装し,計算機実験によりその有効性を確認した.
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