現在、エッチングプロセシングにおいては、現在半導体の高集積化のために、サブミクロンオーダーの加工技術の確立が求められている。本研究では、環状磁場閉じ込めプラズマ発生装置(トカマク装置)で生成されたプラズマ中における、エッチングプロセシングの基礎的過程を明らかにすることを目的とする。具体的には、閉じ込め磁場がエッチングパターンに与える影響を明らかにするために、閉じ込め磁場中のイオンの軌道の解析を行い、イオンの基板への入射角度分布に関する計算を行った。その結果、磁力線が基板に斜めに入射する場合においても、イオンは基板前面に形成される静電シース中で基板に垂直方向に加速を受けるために、イオンの基板への入射角は磁力線が基板面となす角に比べて、より垂直方向に入射されることがわかった。現在実験において得られたエッチングパターンと計算結果との比較・検討を行っている。 本研究ではさらに、高密度トカマク放電を中性ビーム源として用いたエッチングプロセシングについても検討を行った。プラズマ中にバイアス可能な金属板(タングステン及びチタン)とそれに対向させてシリコン基板を設置する。プラズマイオンは金属前面のシース電圧で加速されて金属板に流入し、中性化して反射する。今回、ACATコードを用いて、この反射中性ビームのエネルギー分布及び放出角度分布の解析を行った。その結果、プラズマイオン(フッ素イオン)がタングステン板に入射した場合、入射エネルギーの大部分を持って反射し、放出角度分布はほぼコサイン分布に従うことが分かった。現在、本手法を用いたエッチングに関する実験を行っている。
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