研究概要 |
平成6年度は、当該研究課題に関して当初の計画を変更し、レーザー照射初期における流体不安定性の成長に関する研究を中心に進めた。これは、レーザー加速フォイルにおける流体不安定性を実験的に調べた際に、衝撃波がフォイルを貫通する以前に既にフォイルの面密度擾乱が成長し始めることが明らかとなったためである。この現象はこれまで調べられたことがなく、物理学的に重要性が非常に高いと判断し、計画を変更した。 実験はポリスチレン薄膜(厚さ:40-100μm)の片面に凸凹をつけ(波長:60-100μm,初期振幅:2-8μm)、その薄膜の凸凹ををつけた面をレーザーで照射した。レーザー照射により、薄膜中には波面が凸凹した衝撃波が生成され、薄膜中を裏面に向かって伝播した。このような状況において、衝撃波波面の凸凹の振幅、薄膜の面密度擾乱の大きさ、およびレーザー照射面の凸凹の振幅を測定した。その結果、衝撃波波面の凸凹の振幅は、衝撃波の伝播によって減衰振動することが初めて明らかとなった。薄膜の面密度擾乱は衝撃波波面の凸凹が振動することによって衝撃波が薄膜を貫通する以前に成長することが明らかとなった。また、衝撃波が伝播している時間領域では、レーザー照射面の凸凹は成長しなかった。これらの実験結果は2次元流体コードによる計算機シミュレーションによって良く再現された。上記の結果は、論文にまとめ、Physical Review Lettersに投稿し、既に掲載受理されている。
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