1精製 タコ網膜からショ糖密度勾配法により得られた視細胞膜を等張バッファ(400mMKC1)で懸濁した後、遠心したところ上清部分に高いホスホリパーゼC(PLC)活性が見られた。これを出発物質として以下の精製を行った。一般にPLCはヘパリンと高い親和性があることが知られているのでまずヘパリンカラムにかけた。400mMNaClで溶出されてくる分画に高いPLCの活性が見られた。電気泳動パターンでは、哺乳類のPLC_βの分子量150kDaに近い135kDaにバンドが見られる他に低分子量側に数本のバンドが見られた。この分画をさらにゲル濾過カラム(Suprerose6)、陽イオン交換カラム(Mono-S)を用いて精製を行った。その結果、SDS-PAGEで135kDaに単一バンドを示すPLC標品が得られた。最終的にタコ目玉67ヶから420μgのPLCが得られ、PIP_2の加水分解活性は30μMCa濃度の時1.33μmol/min/mgであった。 2性質 PLCの活性のCa^<2+>濃度依存性を調べた。10nMのCa^<2+>濃度では殆ど活性はないが、Ca^<2+>濃度を上げていくと活性は上昇し10〜100μMで最大値に達した。さらに濃度を上昇させると1mM以上では急激に活性は下がった。Mg^<2+>は用量依存的にPLC活性の阻害を示し、2.5mMでその活性は完全に消失した。活性の至適温度は30であった。哺乳類のPLC活性の至適温度37であるが、タコ視細胞PLCは37では活性が下がった。 3G蛋白質による活性化 タコ視細胞から精製したG蛋白質(Gqp)をAlF_4^-またはGTP_γSで活性化しこれによるPLCの活性を調べた。現在の所期待通りのG蛋白質によるPLCの活性上昇は見られなかった。用いたG蛋白質が可溶性でうまくPLCと共役出来なかったのか、またはG蛋白質の活性化に不可欠なMg^<2+>が逆にPLCの活性を阻害した可能性もある。現在再構成系でのPLCの活性化を再検討中である。 (本研究は同研究室の吉川知志氏と共に行った。)
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