1.既に樹立したパラインフルエンザ4A型ウイルスのF蛋白を構成的に発現している細胞株、HN蛋白を構成的に発現している細胞株、F蛋白とHN蛋白を両方構成的に発現している細胞株を使って細胞表面に発現している蛋白をモノクローナル抗体を使って調べた。その結果、樹立した各細胞株で発現量の違いはあったがすべて表面に発現していた。これらの発現細胞株のうち強いものを1つずつ選んで以下の実験に使用した。実験に使用した各発現細胞はFACScanで蛋白の発現量を感染細胞と比較したところ同等以上であった。また細胞表面のシアル酸の量を測定したところ、HN蛋白を構成的に発現している細胞株とF蛋白とHN蛋白を両方構成的に発現している細胞株ではF蛋白を構成的に発現している細胞株や処理していないHeLa細胞に比べて約75%に減少した。 2.細胞融合はF蛋白を構成的に発現している細胞株とHN蛋白を構成的に発現している細胞株を混ぜても起こらないし、F蛋白とHN蛋白を両方構成的に発現している細胞株だけでも起こらない。しかし、F蛋白を構成的に発現している細胞にHN蛋白をtransientに発現させると融合が起こる。またパラインフルエンザ2型ウイルスのHN蛋白をtransientに発現させても融合が起こった。以上のことから細胞融合には両蛋白が同一の細胞に発現していることが不可欠であるが、HN蛋白を構成的に発現していると融合しないことが明らかになった。 3.両方構成的に発現している細胞株とHeLa細胞を混ぜると小さな融合が起こり、F蛋白を構成的に発現している細胞株を混ぜると大きな融合が見られた。しかし、HN蛋白を構成的に発現している細胞株と混ぜても融合は見られなかった。したがってF蛋白を発現していると融合を促進するような働きがあり、HN蛋白を発現していると抑制するような働きがあるように思われる。
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