研究概要 |
我々は今回ヒトLRR部分cDNAをプローブとし胎生15日のマウスbrain cDNA libraryをスクリーニングした。プローブとしては、アメリカNIHのヒトbrain cDNA library sequencenceing prject(M.D.Adams et al.Nature Genetics 4,373-380,1993)で報告された、LRR蛋白スーパーファミリーに属するSLITと、50%のホモロジーを持つクローン(EST06184)をプローブとし緩徐な条件下でプラークハイブリゼイションにて一次及び二次スクリーニングを行った。このファミリーに属する2つの独立したクローンA,Bが得られ塩基配列を決定したところそれぞれLRR構造を持つことが確認された。またクローンAに関しては全長cDNAの解析を行いこのクローンが膜貫通型で、細胞外に11個のLRRを持つ接着因子様構造を有することが明かとなった。クローンAをプローブとしたadult臓器別のNorthen blottingでは約4Kbの位置に単一のバンドが認められ、脳に強く発現しその他の臓器では肺と腎臓に弱いシグナルを認めるのみであった。得られた部分cDNAを鋳型としcRNAプローブを合成、胎生13,15,17,19日のマウス胎児およびadult brainにてmRNAの分布をRI in situ hybridizationで検討したところ2つのクローンとも主に胎生期の神経系(脳、脊髄、dorsa root ganglion)および軟骨組織などに特異的に発現しており、クローンAは胎生13日に最も強く発現し、発現量および発現部位は徐々に縮小しadult brainでは海馬を中心に発現が見られるのみである。また、クローンBにおいては胎生13,15,17,19日で脳、脊髄にその発現が同じ程度見られ、adult brainでは海馬を中心に発現が見られた。
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