研究概要 |
マイコプラズマに対して高感受性のマウス(MPS)の特性について検討した。マイコプラズマに対する抵抗性は、マクロファージが重要な役割を果たすことが知られている。本マウスがマクロファージの感受性が抵抗性に重要なサルモネラ菌に対しても高感受性であることを利用してその免疫学的特性の解析を行った。MPSは、親株のICRに比べて肺における病変形成率と菌増殖量が著しく高いことが解っている。他の近交系のマウス、BALB/c、CBA/N、A/J、C3H/He、C57BL/6、DBA/2、のマイコプラズマ感染2週後の肺における菌量を調べたところ、MPSに比べて1/10から1/100であった。一方、サルモネラ菌に対する感受性は、MPS,BALB/c、C57BL/6が高く、ICR、C3H/He、A/J、CBA/Nは抵抗性である。サルモネラ菌に対する感受性は、マクロファージ内における菌増殖に相関することが知られているので、MPS、ICR、BALB/cの腹腔マクロファージのin vitroにおける細胞内サルモネラ菌殺菌能を比較したところ、MPSは、抵抗性のICRと同様の殺菌能を示した。ConA刺激リンパ球培養上清で刺激したマクロファージで比較しても差が認められなかった。また、SRBC、BSA、KLH、M.pulmonisに対する抗体産生能を比較したところ差が認められなかった。これらの結果から、MPSのサルモネラ菌に対する感受性は、感染後のマクロファージ活性化機序に関与しているものと考えられ、その解析が、MPSのマイコプラズマ高感受性をもたらしている原因の解明に役立つものと考えられた。
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