本研究の目指した所は、かつて北陸の地方修験が関わった祭礼や芸能の調査データのうち、静止画像・動画像・音声のようなマルチメディア・データの部分を、UNIXのようなワークステーション用OSではなく、パーソナル・コンピュータ(以下、PCと略)によって蓄積・整理し、分析に供することであった.ここで、あえてUNIXの名を出したのは、研究申請時にこうしたマルチメディア・データベースがPCベースではほとんど実現していなかったからであったが、助成期間中にPCのマルチメディア対応機能が大幅に進歩したため、研究期間当初に苦労して行なった試み(ヴィデオ画像のPCへの入力など)は、今では廉価な汎用機器でも可能となってしまった。 それはともかく、本助成期間中においては、まずPCのOSによるマルチメディア・データの処理の便宜について、MS-Windowsの"Video for Windows"とMacintoshの"Quick Time"との比較対照を同一データにより試みた。その結果、現時点では"Quick Time"に一日の長があるものの、両者ともアナログ・ヴィデオの画像取り込みにはまだ制約が多いことが分かった。次に、1995年度後半から勤務先(小松短期大学)にインターネット環境が整ったことに伴なって、いわゆるホームページ(http://www.komatsu-c.ac.jp/〜yositani/jindex.htm)を作り、そこに地方修験に関わるマルチメディア・データを掲載した(http://www.komatsu-c.ac.jp/〜yositani/Link.htm)。今の所、高岡市の二上射水神社の築山祭祀に関する静止画像データのみであるが、今後別の祭礼や芸能の静止画像データ、さらに勤務先のUNIXサーバの容量拡大に伴ない、いずれはヴィデオ・データも掲載したいと考えている。 これらのマルチメディア環境を踏まえ、地方修験自体の研究としても、院政期にその展開の一画期を求める考察を試みた(報告書参照)。
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