研究概要 |
日常生活における人間の行動を分析しようとの意図のもとに,マンメジャリングという考えを提案した。そして,のマンメジャリングの具体的方法として「遭遇法」による行動の分析を試みた。 遭遇法とは,二者が互いに出会う時,この二者がどのような行動をとるかによって,この二者間の関係を判断しようとしうものである。例えば,狭い道路において,上役と下役が出会った時,下役は上役に道を譲るであろう。この行動は二人の間の社会関係を推定させる。ある場所に複数のグループに分けられる集団が居る場合,にわかにはこれら複数のグループ間の立体的な社会関係を構築できない。遭遇法によりこれら複数のグループの社会関係が明確となる。 本研究は,こうした考え方のもとある病院内の複数グループの社会関係を行動ら分析した。その結果,病院内では"幼児・重症人院患者","老人外来・先輩医師・軽入院患者・若い医師","中年男性・青年男性・中年女性","若い看護婦,青年女性"の四つのグループに分かれた。これは「多次元尺度構成法:MDS」によった。そして婦長はこのいずれものグループに入っていない特別な存在と考えられた。そして,結論的には,病院内の優先的社会関係は,病院関係では(1)年輩医師(2)婦長(3)若い医師(4)看護婦となり,患者関係では(1)幼児・子供(2)重症入院患者(3)軽症入院患者・老人患者(4)中年男性(5)中年女性・青年男子(6)青年女性となる。一見雑然として見える病院内ではあるが,二者が出会った時にどちらが避けるかという行動の観察から以上のような立体的な社会関係が生まれてくる。 更に同様の手法で工場内の社会関係にもついても分析した。
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