本研究の目的は事物操作の発達における乳児の大人の手への定位をしらべることである.4つの実験が計画された. (1)事物操作を演示しているとき(赤い小さなトンネル、または透明な小さなトンネルの中に赤いミニカを入れ、赤い竹製のハンマーで押し出す)の、大人の手への乳児の定位と道具としての事物操作 (2)乳児の事物操作の水準と二つのものの関係づけ (3)大人の顔から手への定位の移動について ンネル、ミニカ-、ハンマーの実験は、第一年目後半期の乳児およそ150名、1才7、8か月児5名について行った。また乳児」の大人の顔から手への定位の移動については、3、4か月児およそ30名、透明トンネル、赤いミニカ-、赤いハンマーの実験について、6、7か月児6名、9、10か月児9名の研究を行った. 主な結果は次の通りであった. (1)6、7か月児の操作水準が低い場合、実験者の顔を見る場面がしばしば観察された. (2)乳児の事物操作の水準は、月齢にかかわらず、事物操作する実験者の手に乳児が定位するかどうかと深く関係していた. (3)月齢にかかわらず、事物操作の水準と2つのものの関係づけは密接な関係にあった. (4)操作水準のより高い乳児は、車トンネルから出すための道具としてハンマーを使う行為を行い、2つのものの関係を理解するように思われる. (5)透明トンネルの実験では、赤いトンネルの実験に比較して、より水準の高い操作がすべての年齢群において、より多く観察された. (6)乳児における大人の顔から手への定位の移行は、事物操作に伴い動く大人の顔を追視することと関係している.これが共同注意、共同注視のきっかけとなっていると考える.
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