研究概要 |
本研究は、組織社会学の観点から個々の高等教育機関を分析の単位として、戦後日本の高等教育人口の拡大過程のメカニズムを明らかにすることである。本年度は分析の枠組みを借定するために、関連研究の批判的研究を行った。成果は以下の通りである。 1.理論的枠組み確率のため、1970年代以降の組織研究の動向を見てみると、組織を“closed system"としてではなく“open system"と捉えること、組織を“technical system"としてよりもむしろ“political system"ないしは“symbolic system"として理解する傾向が認められる。 2.しかし、これらの理論が高等教育の分野で十分に利用されているとは言い難い(Roades,G.:1992)。高等教育の組織的分析は依然として、管理運営、分業、秩序の問題等、“closed system"としての組織研究の流れを受けたものが主流である。 3.新しい知見としては、大学等の学校は、他の組織とは異なり、“structural looseness"を有する“organized anarchy"であり、意志決定はいわゆる“gabage can model"に従っていること、などである。 なお、本年度は時間的制約等のため、当初予定していた実証レベルでの分析まで達成することができなかった。この点は、引き続き来年度に繰り延べることとなった。
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