昨年度に引き続き、第1に資料蒐集、第2に特定地域でのインタヴュー法、参与観察法によるインテンシィブな社会調査を行った。 資料蒐集では、県、史、市町村誌の民俗編、ことわざ、俗言、俗信、口承文芸といった項目の中から、各地のことわざに関する部分をコピーした。また、各行政の教育委員会に問い合わせ、老人会等が編集した「ことわざ集」を現地に行って買いあげたり、コピーさせていただいた。鹿児島、熊本ではそうした活動が行われているが、福岡、佐賀長崎では、老人会編のことわざ集は見つからなかった。 特定地域でのインテンシィブな調査は、長崎県五島、福江で実施した。 質問票を整備して、調査を実施したので、多くの資料を得ることができた。 ことわざの資料としての整理を行っているが、各県共通のことわざ(方言による違いはあっても全く同類と考えられる句)と、地域性の濃い句とに区分できる。 また、「ことわざに関する社会心理学研究序論」として、民俗学の視点と、文化人類学、社会心理学、社会学的ことわざ研究の視点の違い、後者の集合的分析による共通感覚、習俗規範の抽出による社会的性格の探究の可能性等を、本研究の理論的基礎の意味で論文とした。
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