研究概要 |
九州を縦断的に調査し、各地の地域性に留意しながら、社会的性格の普遍性を抽出すべく研究をすすめてきた。 また,そうした全体的マクロな視点の分析だけでなく,特定地域をインテンシィブに調査し,モノグラフを再構成することも実施している.その特定地域が佐賀県東松浦郡厳木町天川(きゅうらぎちょうあまかわ)である. この天川において、民俗誌的モノグラフを完成すべくフィールド・ワークを実施するとともに,当該地独特のことわざを蒐集した.ことわざ蒐集は,あらかじめ予備調査で得たデータ(ことわざ)を分類,提示し,さらに新たなことわざはないかをインタヴューによって聞き出す方法をとった. その分類とは,社会的性格の構成要素ともいえる(1)社会的態度に関することわざ,(2)社会(世間)観に関することわざ,(3)人間関係に関することわざ、(4)自然観に関することわざ,(5)その他,である.(1)から(4)までのそれぞれの本質が分析できれば、社会的性格の貢髄を抽出できると考える。 さらに、四国の高松から徳島の間の三ヶ所の地域を調査し,ことわざを蒐集した.各県立図書館にて「県誌」「町村誌」さらに老人会編纂の「ことわざ集」を見出し,調査地で当該地独特のことわざをインタヴュー法により蒐集した. 西・南日本民俗文化圏は,九周・四国だけではないが,それぞれの地域性と普遍性を帰納的に分析することに着手したい.
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