(1)本年度は、スペインおよびフランスの研究成果を摂取することができた。とくに、1898年の米西戦争の敗北以後、経済団体や地理学協会などがモロッコ進出を主張するようになる過程について知りえた。 (2)モロッコの民族運動、とくにアブド・アル・カリームの思想と行動について知ることができた。 (3)アブド・アル・カリームの活動にたいして、スペインとフランスの政界、経済界、軍部、植民地団体が大なる恐怖をいだき、世論に訴えてアブド・アル・カリームの「反乱」に対処しようとしたことを知りえた。 (4)スペイン内戦中のモロッコ人の活動について、とくに反乱軍に加わったモロッコ人兵士、反乱派のモロッコ統治政策、共和国政府のモロッコ民族運動への対応について詳しく知ることができた。 (5)フランスの植民地団体の機関紙(スペインにはこれに該当するようなまとまったものはない)を閲覧でき、1920〜30年代の北西アフリカの状況について知ることができた。 (6)研費の一部を「スペイン内戦」(東大出版会、講座世界史第8巻)で紹介することができた。 (7)スペイン人研究者と、スペイン植民地主義、とくにスペインのモロッコ進出運動についての資料や問題点について交流することができた。
|