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1995 年度 実績報告書

アウグストゥス帝時代の政治と社会に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 06801047
研究機関京都大学

研究代表者

南川 高志  京都大学, 文学部, 教授 (40174099)

キーワードアウグストゥス / 元首政 / 政治支配層 / 元老院 / 元老院議員 / 養子縁組 / プロソポグラフィー / 婚姻立法
研究概要

研究の第1年度である平成6年度においては、アウグストゥス帝の政治と社会に関する研究動向の把握に目標をおき、とくに政治の解釈の変遷に注目したが、第2年度の本年は、アウグストゥス帝の社会生活面における活動に光を当て、この分野に関する研究動向を把握することに努めた。周知のように、同帝は結婚や風俗矯正に関して重要な政策を打ち出し、また古い神殿・神域の再建や修復など復古的事業を展開した。しかし、研究史を立ち入って調べてみると、アウグストゥスの社会生活面での活動について独自に追求した研究業績はほとんどないことが判明した。一方で、近年のローマの家族や女性に関する研究の降盛は、アウグストゥスの婚姻政策について分析する素材と視角を大いに提供していることも判明した。また、アウグストゥス自身の家系内における養子縁組などの措置が、ローマ史上最も典型的な近親結婚の例として研究の対象とされるようになったことも重要である。
こうした研究動向調査の結果を考慮にいれると、アウグストゥスの帝国統治も社会生活面での措置も、旧来の法制史や事件史、あるいは思想史のレヴェルで追求するよりも、具体性を伴った家族、日常生活史的な観点から追求した方がより今日的であると認識された。ただし、政治の分析には方法論的に確立されていない社会史的手法では究明しきれないあいまいな部分がどうしても残るのであり、依然としてプロソポグラフィカルな手法を用いた政治支配層に関する研究を並行して行う必要を痛感する。この点で、故R・サイム教授の大著The Augustan Aristocracy(Oxford, 1986)における議論は、今日でも最も重要な参考となると思われる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 南川高志: "ローマ皇帝とその時代-元首政期ローマ帝国政治史の研究-" 株式会社 創文社, 502 (1995)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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