現地で、表面の錆の様子が違うコインを30点選び、錆の観察、分類を綿密に行った。その結果本遺跡の錆の生成パターンが大体つかめた。錆の色による分類からみると以下のようになる。 地金→黒色→茶褐色・黄褐色・赤褐色→濃緑→わさび色→白緑 →コバルト→水色→濃緑→わさび色→白緑 この錆の色を指標にして、錆の除去を行った。なお地金内部の錆の生成については、断面から推察していくことになるが、サンプル数が少ないため、今夏の調査を待ちたい。 上記30点のコインについては、錆を除去しながら、C1濃度を測定し、錆の状態によりC1濃度がどのくらい変化するか計測した。その結果は、濃緑でダンゴ状に発達した錆が一番濃度が高かった。 錆は日本にもち帰り分析したが、錆の色による成分の違いはあまり見られなかったが、今夏の調査でもサンプリングを重ね分析をしていく方針である。 クリーニング方法の確立では、タフピッチ銅を試験板に使い、2種類のキレート剤にパーセントを変え浸漬し、減量の度合から、母材に与える影響を見る実験を行っている。その結果から、薬剤とその濃度を選択していきたい。 処理方法の評価としては、簡易メータを持参して計測したが、もち帰って精査してみても、そう違った値ではなかった。今夏も同様に計測し、より確かで簡単な方法を確立したい。
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