高度経済成長は、高学歴化と人々の遠距離移動を容易にした。地域社会へはかつてからの住人だけでなく、様々な地域からの人たちや、他の地域での生活経験を持つ人々が居住することを当然とした。地域社会の構成員が多様化したということである。地域構成員の多様化によって、地域のことばもまた独自の変化をとげていくこととなる。 本研究ではこのような、地域社会の変化に伴ったことばの問題、たとえば、方言で生活することが日常の社会(方言主流社会)に住む人々の、ことばに対する意識や行動について考えてみたものである。より具体的には以下の4点に焦点をあてて調査・考察した。 方言主流社会で生活する様々な人々は、 (1) 方言や共通語をどのようなことばとイメージしているのか (2) 場面や周囲の状況の違いによって、どのようにことばを使い分けているのか (3) 両言語を将来的にはどうしたいと考えているのか (4) 影響力の大きい学校教育やマスコミでは、どのように取り扱うべきと考えているのか などである。方言主流社会ならではの方言と共通語の共存ルールについて考えた。
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