研究概要 |
かつての共通語が話せなかった時代とは違った、新しい状況下での、ことばに対するさまざまな人々の意識や行動について調査・研究した。具体的には、 (1)方言や共通語をどのようなことばと地域社会の人々は意識しているのか (2)場面や周囲の状況の違いによって、どのうよにことばを使い分けているのか (3)方言と共通語を将来的にはどうしたいと考えているのか といったことについてである。 平成6年度は標記課題についての意識調査を青森県津軽地方で実施した。調査の母集団は地域や年齢などによって分けた200名による。 また平成7年度は上記調査によって得られたデータの入力を行った。と共に、他の地域社会での言語意識や言語行動と比較すべく、札幌や仙台、鹿児島などにおいて、津軽地域で行ったものの簡易調査票を用いての調査を実施、考察した。 これらの研究成果は裏面記載の論文として報告している。また「方言主流社会-地域構成員の多様化とその言語意識」の成果については、地元新聞社「東奥日報」紙面に詳しく取り上げられた。方言研究は研究素材としてだけでなく、地域社会における興味の高いテーマである。同時に、現代日本語にとってもまた、方言と共通語の教え方や使われ方は大きな共存問題ともなっていた。 結論として、方言で生活する社会(方言主流社会)では,方言と共通語は将来的に共生していくことばであり、学校教育や地域社会教育などを通して、溺愛や排他にならない共生のための教育がなされていくべきと位置づけた。 また、今回の研究科題を通して得られた言語意識調査のノウハウは、外国語と日本語との関係(国際化する日本語)や、災害時における外国人への災害情報の与え方、といった新たな研究テーマに活かされている。その一部は「外国人のための災害時のことば」として成果報告した。
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