平成6年度科学研究費補助金の交付は第二次分であったため、当初予定していた研究実施計画どおり進行させるには研究時間を十分確保できていない。しかしながら、短期間ながら、改めて上記の研究課題に最適な研究手法を確定するために、まずは初期映画(とりわけリュミエール兄弟とジョルジュ・メリエスの主要な映画)の基本資料を収集して全体的特徴の分類とシーンごとの特徴を列挙した。その結果、映画タイトルの一覧、制作年、長さ、主演俳優、シナリオの要約(あるいはテーマ)、シーン(あるいはタブロ-)ごとの特徴(登場人物・描写対象の場所)、撮影方法(撮影場所・撮影トリックの分類)などの特徴分類の項目を起こすのが最適と判断して、それら資料の一部の入力を、コンピューター等を用いて、開始したところである。そして2月下旬にその研究成果の一部を、映画生誕100年記念上映会で1時間程度口頭発表したところ好評であった。とくに、映画史の博士であるアリアンス・フランセ-ズ仙台館長ジャン=ピエール・パグリアノ氏から高く評価された。さて、比較研究のもう一方の研究対象であるル-セルについては、新版全集の刊行がされたためそれに準拠することにした。そして種々検討した結果、作品名、執筆年(発表年)、長さ、主要登場人物、物語小単位の要約(あるいはテーマ)、シーンごとの特徴(登場人物・描写対象の場所)、記述方法(物語記述型・密着記述型・科学的記述型・歴史記述型)などの分類項目を確定し、資料の一部をコンピューターやスキャナー等を用いて入力を開始したところである。
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