研究概要 |
今年度は,昨年度に於ける伝統的な“品詞論"をベースにした調査を,教科書の編纂をも念頭に置いた,inter-subjechveな方向へと移行させた。こうした研究は,カレン語に関してはおそらく初めてのものであろうし,研究書・論文も皆無に近い。そのため,参考にできる資料が全くないので,データ収集から解釈に至るまで試行錯誤の繰り返しであり,ほんの短い対話の文法的分析でもかなり時間が懸かったが,そのせいで真に生の声に近い資料とカレン語全体の実態がかなり明白な形で浮き彫りになりつつある。教科書的な題材も思いのほか早く整い,既に半分以上のレッスンが集った。 具体的には,カレン語は文法的にもやはり動詞の中置言語と後置言語の中間に位置し,ビルマ語の影響を強く受けながらも,やはり中置言語としての位置付けをより強くしつつある,という印象を抱く。本研究では中国語に於ける経緯に直接,言及することはできないが,次の研究ステップとしてのクレオール説に関係して、その方向性に十分、基体できるものと思われる。
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