萌芽的研究として、まず、文献研究を行った。その結果、バイリンガリズム研究に関して分野、話題ごとに基本文献一覧を作成し、専門用語を整理し、日英語の対訳表を作成した。とりわけ、C.ベーカー(1993)の邦訳を完成したことは、日本においてバイリンガリズム研究を確立する上で大きな貢献をするものと期待される。 カナダ、ウェールズに出かけ、社会的バイリンガリズムとバイリンガル教育に関する調査を行い、生のコード・スイッチングのデータを収集し、専門家と意見・情報の交換をした。それぞれの成果については、論文の形で発表している。また、日本でもバイリンガル教育やイマージョン教育を実施している学校を視察し、教育上の問題点や子供のバイリンガルの発達に関して考察した。 とくにコード・スイッチングに関しては、上のようなフィールド・ワークで収集したデータに加え、実際にインフォーマントを使って面接をしたり、かれらの自然な言語生活の中から資料を集めた。それらをもとに分析に取り組み、語用論的なアプローチを採用し、言語的、社会的、心理的要因に分類した。そこから、バイリンガルの言語使用の認知、情緒面を探り、「コード・スイッチング文法」の解明という形でバイリンガルの脳のメカニズムに迫った。 上述のバイリンガリズム、コード・スイッチングに関する研究成果は論文として公にしたと同時に、大学英語教育学会(JACET)のシンポジウムなどにおいて口頭発表した。
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