データの収集については、英語テスト、性格テストの実施、質問紙の郵送および回収など今年度予定のものはすべて完了した。平成6年7月に、平成6-7年度生に対し、留学前テストとして英語標準テストSLEPと、国際的資質、性格傾向、アメリカ人観、日本人観、留学動機などを含む総合質問紙による調査を実施した。さらに、有志7名については、英語朗読による英語感情表現能力のテスト、自己紹介および小人数グループによるディスカッションをさせ、そのもようを、音声テープ、ビデオテープに収録した。渡米後四か月が経過した11月には、滞米中間テストとして、本人に適応に関する総合質問紙を郵送し、心理的満足度、ソーシャルスキルの実施度、英語によるコミュニケーションの成功度などを自己評価させた上、生活状況、人間関係状況なども併せて調査した。また、ホストファミリーに対しても質問紙を送り、学生の適応度を評価してもらった。平成7年1月末の時点で返答していない学生およびホストに対し、2月初旬に再度質問紙を郵送した。 本研究においては、留学の成果について、留学前テスト、滞米中間テスト、留学後テストを通して得た3種類のデータを比較分析することを柱としているため、留学後テストを終えていない現時点で、平成6-7年生に関する分析結果を出すことは不可能である。しかし、この一連の研究は、少しずつその目的、分析方法を変えながら、長期的に実施しているものであるため、今年度は、平成4-5年生、5-6年生を合わせたデータを分析することができた。その結果、外国語能力、性格特性と異文化適応の関係において、新たな知見が得られた。外向的性格がホストや同世代のアメリカ人との交友など人間関係面の適応を予測できたのに対し、英語力は、「学業の達成度や英語力の伸び」という側面を予測することができたという点である。
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