日本の総人口は10年後から減りはじめ、100年後には40%減ないし60%減となるおそれが強い。人口減少社会においては貯蓄率が減り、1人あたり所得の実質的上昇を期待できなくなる。 人口減少プロセスをもっと緩慢にするためには出産・子育て支援を柱とする家族政策が必要となる。その具体的方策は以下の3つにまとめられる。 1.男女の固定的役割分担を見直し、男も女も「仕事と育児」の双方に時間が割けるように社会と意識を変える必要がある。 2.企業における従業員の長時間拘束をやめ、コアタイムを短縮する。そのためには業績評価を拘束時間の長さではなく成果に基づいてするように改めたり、超過勤務手当てを賃金の50%増(現行は25%増)にしたりする必要がある。 3.国や地方自治体は出産育児支援に向けて抜本的な対策を講じる必要がある。年金制度における出産手当の新設と保険料計算時の児童扶養控除導入、児童手当の増額、奨学金の拡充、保育所の規制緩和、税における保育料控除の導入、乗物へのマタニティシート・ベイビ-シートの導入等、すべき課題は多い。
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