本研究の目的は、人口の高齢化につれて、年金問題が大きな社会問題として注目されている現在において、年金資産の受託運用機関である生保と信託について、受託運用市場における競争の実態を検討することにより、今後の政策運営のためのインプリケーションを提示することであった。 研究期間は2か年であるが、初年度に当たる本年度は、将来の年金支払の財源確保のために、生保と信託がどのような役割を果たしているかを明確にするとともに、生保と信託に対する政府規制の状況も明らかにした。 具体的には、次の3点について検討を加えた。 1.年金に関する従来の諸研究のレビューを通して、これまでに年金について、研究の発展度合いがどの程度なのかを、明らかにすることにより、本研究を進めるに際しての基礎的な知識とした。 2.生保と信託の年金資産の受託運用状況を把握することにより、年金資産に関して、今何が問題であるかを、検討した。 3.年金資産の受託運用に関する現行の政府規制の把握を通じて、現在の受託運用市場において、競争がどの程度行われているかを明らかにした。 本年度の研究成果を踏まえて、次年度では年金資産の受託運用の是非、受託運用機関への政府規制の在るべき姿等を検討する予定である。
|