本研究の目的は、人口の高齢化につれて、年金問題が大きな社会問題として注目されている現在において、年金資産の受託運用機関である信託と生保について、受託運用市場における競争の実態を検討することにより、今後の政策運営のためのインプリケーションを提示することであった。 研究期間は2か年であるが、最終年度にあたる本年度は、次の3点について検討を加えた。 1.信託銀行と生保会社の業務に占める年金資産の受託運用業務の重要性の検討 2.年金資産の受託運用をめぐる信託と生保の競合による影響の測定 3.年金資産の受託運用に関する政府規制の検討 以上の議論と、前年度に行なった研究成果を総合して、将来の年金支払を確実にするための、信託と生保による受託運用のあるべき姿と、それに対する政府規制の望ましい係わり方を明らかにする予定であった。しかし、平成7年5月末に保険業法が改正され、平成8年4月1日より公布されることになっている。新・保険業法の具体的運用に関する詳細が明らかになる迄には、もう少し時間がかかるようである。本研究は、これらの経緯を踏まえた上で、最終的な結論を出すことにしている。
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