平成6年度は本研究を行う上で重要な部分を占めるデータベースの作成に重点をおいた。データベースは次の2つの柱によって構成した。 (1)上場企業を対象に、メインバンク、メインバンク関係の特徴(資本関係、役員派遣)、業績予想、会計政策の状況 (2)主要金融機関の融資状況、財務状況、BIS比率 上記データベースの作成進捗状況は、(1)が70%、(2)が80%程度である。(1)はいくつかの理由により、予定のペースを下回っている。その大きな理由の1つとして、企業の業績予想データについて若干の問題点が生じたことがあげられる。当該データは、企業の記者発表の翌日に日本経済新聞に掲載されるデータから採取してきたが、1991年6月より記者の予測が加味されることになった。このため純粋な企業の予想を採取するには東京証券取引所に出向かなければならなくなったためである。(2)はほぼ予定通りである。 また平成7年度以降に実施する実証研究の基礎となる仮説を指示するために、内外の関連研究のサーベイを行っている。主として経営者の会計政策決定および変更に関する文献とメインバンクに関連する文献が中心となっている。また同時に、日米の銀行法や企業グループあるいはグループ経営とその評価に関する文献もフォローしている。
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