研究概要 |
リエナ-ル方程式を研究する上で、一番重要な問題はその解軌道が1:原点に漸近するか否か 2:特性曲線と呼ばれるものに交わるか否か であると言える。この2つの問題が解決されれば、周期解やセパラトリックス(周期解とそれ以外の解を分離する役割を果たす特殊な解)が如何なる条件があれば存在するのかが判明する。 本研究では、1:すべての解軌道が特性曲線に交わるとき、リエナ-ル方程式は性質(X)を持つ 2:特性曲線上のある点を通る解軌道が原点に漸近するとき、リエナ-ル方程式は性質(Z)を持つ と呼び、性質(X),(Z)があるための必要十分条件を与えた(Nonlin. Diff. Eq. Appl.)。その結果、セパラトリックスの性質が明確になり、どのような場合にセパラトリックスが現れ、逆に消えるのかが判明した。セパラトリックスの性質により、リエナ-ル方程式を幾つかのタイプに分けることができた(J. Math. Anal. Appl.)。セパラトリックスの一種として、ホモクリニック軌道が有名である。周期解に関する従来の研究では、ホモクリニック軌道を持たないリエナ-ル方程式だけについて考案されてきた。本研究では、ホモクリニック軌道を持つリエナ-ル方程式の周期解が存在するための条件も求めた(Disc. Cont. Dynam. Syst.)。また、振動論への応用として、外力項を含むリエナ-ル方程式やオイラー方程式の解の振動性についての結果を導いた(Proc. Inter. Con. Dyna. Syst. Chaos; Proc. Amer. Math. Soc.)。以上の研究内容は本研究目的(ii),(iii)に対応するものである。研究目的(iv)ついて、生態系のモデルとして有名なホリング方程式の周期解の有無を決定する要因を求めた。この方程式の簡単な場合は既に80年から90年にかけて研究報告がなされていたが、それらの条件の間に一つの法則性があることに気付き、本研究で得られた結果を用いることにより、証明を与えた(Appl. Math. Lett.)。研究目的(v)に関する結果も掲載決定済みである(Fu. Ek.)。
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