研究概要 |
本研究ではWiener-Pitt現象を起こすあるいは起こさないmultiplierについての研究を行なった。局所コンパクトabel群上のmultiplierでFourier変換が無限遠で0になっているもの全体からなる環では、Apostol環と最大正則閉部分環が一致し上の環の中で極大になっている事を示した。その際multiplierを例として含む抽象的な可換Banach環の問題として捉え、そのような環に対してApostol環と最大正則部分環の一致性を示した。特に極大イデアル空間が点列などのように希薄な集合の場合は、さらにそれらがWiener-Pitt現象を起こさないもの全体になっている事を示した。また、任意の非コンパクト非離散局所コンパクトabel群にはその上の有界正則Borel測度で、Wiener-Pitt現象を起こさずradicalにも入っていないものが存在することを証明した。特に、Fourier-Stieltjes変換が無限遠で0になるような測度の中にもこのようなものが存在する事を示した。この事は特別な局所コンパクトabel群においては既に知られていた現象であり、一般の場合にもこのようなことが起こるかどうかが問題となっていた。(Eschimeier,Laursen,Neumannの問題として知られていた。)上の結果はこの肯定的な解決を与えたことになる。また、BSE環についての研究も行った。BSE環理論コンパクトabel群上の測度環に対するスペクトル写像定理の証明に用いられるなど本研究と密接な関係がある。本研究ではオリジナルノルムとBSEノルムが一致する可換Banach環について考察し、群環、半群環、可換H^*環がそのようになっている事を証明した。
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